
皆さんは、お酒が入ってどれくらいの時間で車で運転ができますかご存じでしょうか。
意外と夜に飲んでおけば、翌朝にはお酒は抜けていると思われている考えがちだと思いますが、完全に抜ける時間は一定の時間が掛かります。
今回はお酒の抜ける時間について調べていきましたので、車の運転やお酒に関心がある方はご覧ください。
結論:お酒の抜ける時間は遅い
- アルコールの分解速度はほぼ一定
- 早く抜く方法は存在しない
ということがわかっています。
そのため、次の日に運転がある場合はできる限り飲まないということがベストです。
しかし、そうはいっても前日に飲み会があってその次の日は仕事やお出かけをしないといけないという方がほとんどかと思います。
そのため、今回はお酒の抜ける時間を含めて体で起きているアルコールと体の関係について説明していきます。
そもそも、二日酔いってどんな状況なの?
詳しくは二日酔いに関する記事をご参照ください。

一般的には
二日酔い(alcohol hangover)
飲酒後、血中アルコール濃度がほぼゼロに戻った後に出現する、
身体的・精神的な不快症状の集合体
が一般的な解釈かと思います。
では、医学的に説明すると、
アルコール摂取によって引き起こされた生理学的攪乱が残っている状態
です。
具体的には、頭痛や、脱水、倦怠感、熟睡感の減少などが挙げられます。
アルコール代謝について
お酒というのは、90%以上は肝臓によって代謝されることがわかっています。
では、どのように代謝されるかというと、医学的には以下のようになっています。
代謝の流れ
- エタノール → アセトアルデヒド(酵素ADH, CYP2E1)
- アセトアルデヒド → 酢酸(ALDH)
- 酢酸 → 二酸化炭素 + 水(末梢組織で利用)
代謝速度の特徴
- エタノール代謝はゼロ次反応(zero-order kinetics)ということがわかっています。
- つまり、
👉 血中濃度に関係なく、一定速度でしか分解されない
イメージとしては、アルコールが体内に沢山あるとすぐに代謝してくれるようなイメージを抱きがちですが、実はアルコール代謝というのは一定ということがわかっています。
代謝速度の目安
- 血中アルコール消失率=約10〜35 mg/100 mL/時
- 平均的には15〜20 mg/100 mL/時 とされることが多い
また、これらの事実を基に、Widmarkの式を用いて計算が求められます。
Widmark 式とは、
飲酒量・体重・体内分布を仮定して、
血中アルコール濃度(BAC)を理論的に推定するための数式
★身体にどのくらいアルコールが残っているのか計算する方法
実は、アルコールが身体の中にどれくらいのこっているのか、客観的に計算する方法があります。
もちろん、人種などでアルコール代謝の酵素が異なりますので参考値にはなりますが、おおよそのアルコール代謝時間というのは予測できます。
Widmarkの式=(摂取アルコール量)÷(体内水分量)−(経過時間 × 消失率)
具体例①:ビールを普通に飲んだ場合
- ビール中瓶 2本(約40 g 純アルコール)
- ビール中瓶 500 mL × 2本
- アルコール度数:5%
純アルコール量の計算
→500 mL × 0.05 × 0.8 g/mL = 20 g(1本) → 2本 = 40 g
体格条件
※Widmark 式は体重を仮定する必要がありますが、ここでは標準的な例を示します。
- 体重:70 kg
- Widmark 分布係数 r:
- 男性:0.68(※文献で広く用いられる代表値)
- 女性:0.55
Widmark の式(基本形)
推定BAC(g/dL) =摂取アルコール量(g)÷[体重(kg)× r × 10]
これらを当てはめると、
推定BAC=40 ÷(70 × 0.68 × 10)= 40 ÷ 476 ≈ 0.084 g/dL
※消失率を 15 mg/100 mL/時(0.015%/時) と仮定すると、
0.084 ÷ 0.015 ≒ 5.6 時間
👉 飲み終えてから 約5〜6時間 は血中アルコールが残る計算になる。
つまり、一般化すると、以下のような式になります。
推定アルコール代謝時間
=摂取アルコール量(g)÷【体重(kg)×(男性0.68、女性0.55)×10】÷0.015
お酒の種類別:純アルコール量の早見表

これに、推定アルコール代謝時間の式を当てはめることで、代謝される時間が推定できます。
推定アルコール代謝時間=
摂取アルコール量(g)÷【体重(kg)×(男性0.68、女性0.55)×10】÷0.015
お酒を飲んだ後の間違った対処法
間違っていること①:「水をたくさん飲めばアルコールが早く抜ける」
水分補給は、脱水、口渇、二日酔い症状を和らげる可能性はあります。
しかし、アルコールの代謝速度(肝臓での分解)は変わりません。
間違っていること②「サウナ・入浴・汗をかけば早く抜ける」
アルコールは、汗ではほとんど排泄されません。汗をかくことで起こるのは、脱水の悪化と循環動態の不安定化が起こるため代謝は早まらず、むしろ体調は悪化しやすいです。
間違っていること③:「運動すればアルコールが燃える」
運動で消費されるエネルギーとアルコールの肝代謝は別物です。
心拍数上昇や発汗上昇は起こりますが、肝臓のADH/ALDH活性は上がりません。
間違っていること④:「コーヒー・エナジードリンクで解毒できる」
カフェインは、覚醒度を上げる、眠気を一時的に改善させるものだけであり、アルコール代謝には影響しません。
間違っていること⑤:「肝臓に良いサプリ(ウコンなど)を飲めば早く抜ける」
一部サプリは自覚症状や胃腸症状を軽減する可能性はありますが、アルコール分解速度を上げる証拠というものはありません。
もちろん、二日酔いについての研究などとは関係ありますが、一方でアルコール代謝時間とは関係ありません。
終わりに
お酒は「寝れば抜ける」「水を飲めば早く抜ける」と思われがちですが、医学的にはアルコールの代謝速度はほぼ一定で、早める方法は存在しないことがわかっています。
そのため、夜に飲酒した場合でも、量によっては翌朝になっても体内にアルコールの影響が残っている可能性があります。
特に車の運転や重要な判断が必要な場面では、
「感覚的に大丈夫そうか」ではなく、
どれだけ飲んだか・どれくらい時間が経ったかを冷静に考えることが重要です。
今回ご紹介したように、純アルコール量や Widmark の式を用いることで、
おおよその代謝時間を客観的に見積もることは可能です。
もちろん個人差はありますが、「思っているより遅い」という前提で行動することが、安全につながります。
結論として、
- 翌日に運転がある場合は、できるだけ飲まない
- 飲んだ場合は「時間が解決する」以外に方法はない
- 早く抜こうと無理をする行動(サウナ・運動など)はむしろ逆効果
この3点を知っておくだけでも、飲酒との付き合い方は大きく変わるはずです。
お酒を楽しむためにも、そして自分や周囲の安全を守るためにも、
「アルコールは想像以上に長く体に残る」
この事実を、ぜひ覚えておいてください。
