みなさんは、日本酒を飲まれたことはございますか。
僕は最近はお酒自体をあまり飲んでいないのですが、一番好きなお酒は日本酒です。
一番飲んでいた時は、魚の刺身と一緒に毎日のように飲み明かしていました(笑)
日本酒をのんだことがある人であれば、日本酒の種類の多さであったり、大吟醸など、何を指しているかわからない単語も多いかと思います。
今回は、明日から会話の糸口になるお酒の話について調べてきましたので、ご紹介していきたいと思います!
1. 日本酒とは

一言でいうと、米・米こうじ・水を原料として発酵させたお酒で、アルコール度数が22度未満のもの
別名では清酒とも呼ばれ、酒税法で規定されています。
※醸造酒・・・ウイスキーのように蒸留せずに発酵のみでアルコールを得るお酒のこと
また、詳しい定義は3つあり、以下のようになります。
① 原料の条件
以下の材料を使用してつくられたもの
- 米(精米したもの)
- 米こうじ
- 水
これに加えて、一定の範囲で 醸造アルコール を加えることは認められています(いわゆる「本醸造」「吟醸」「大吟醸」など)
※醸造アルコール・・・サトウキビやトウモロコシ、さつまいもなどを発酵させ、蒸留してつくる高濃度のアルコール(エタノール)
のこと。
② 製法の条件
①の原料を発酵させて、こしたもの濾した固形物は「もろみ」と呼ばれます
③ アルコール度数が22度未満
日本酒は アルコール22%以上では清酒と認められません
2. 日本酒の製造工程

日本酒は「並行複発酵」という世界でも珍しい方式を使うのが特徴です!
※「並行複発酵」については以下の記事をご参照ください
◇ 製造の流れ
- 精米(外側のタンパク・脂質を削る)
精米歩合が低い(よく削る)ほど雑味が減る。 - 洗米・浸漬
水分吸収を精密に管理。 - 蒸米
でんぷんを糊化。 - 麹化(黄麹菌)
- デンプン → 糖(グルコース)へ分解
- 酵素:α-アミラーゼ、グルコアミラーゼ
- 酒母(スターター)
酵母を大量に増やす工程。 - 仕込み(並行複発酵)
- 麹がでんぷんを糖にする
- 酵母が糖をアルコールにする
→ 最後まで麹によって糖が酵母に供給されることで高い濃度のアルコールが生成される(並行複発酵)
- 搾り
もろみから液体を分離。 - 貯蔵・火入れ
熱処理(約60〜65°C)で酵素・微生物を失活させる。
生酒はここを行いません
今日から使えるかもしれない日本酒豆知識 ~なぜ吟醸とよばれるか?~
「吟醸(ぎんじょう)」という名前の由来は、
酒造りにおいて「吟味して醸す」=“厳選し、丁寧に造る”という意味から来ています。
吟(ぎん)
「吟味する」「吟味された材料」の“吟”。
= 米を厳選し、雑味を減らすために高精度の精米を行い、丁寧に仕込むこと を表す。
醸(じょう)
「醸す」=酒を造ること。
= 時間と手間をかけて発酵させる酒造工程 を表す。
3.日本酒の歴史について
おおまかな歴史は以下のようになります
- 3世紀:口噛み酒(文献最古)
- 8世紀(奈良):国家が酒造管理
- 10世紀(平安):酒造技術体系化
- 15世紀(室町):三段仕込み・生酛(現代技術の原型)
- 17〜19世紀(江戸):清酒文化完成
- 20世紀(明治〜昭和):法整備・速醸酛・吟醸革命
- 21世紀(平成〜令和):世界的人気、多様化
① 縄文〜弥生時代(起源)
米作りの開始と共に酒が登場
- 米作が日本に伝わったのは紀元前5世紀ごろ
- この頃、自然発酵で“米酒のような飲料”が生まれたと考えられます。
咀嚼(そしゃく)酒「口噛み酒」
- 『魏志倭人伝』(3世紀)
女性が米を噛んで吐き出し、酵母で発酵させる方式。
これが日本最古の酒造記録となります
※映画「君の名は」で出てくる口噛み酒はこれが元になっているのですね!
② 古墳〜奈良時代(国家管理の酒)
「酒(さけ)」という言葉が文献に登場
- 『日本書紀』(720年)に酒に関する記述あり(確実)。
官営の「造酒司(みきのつかさ)」
- 奈良時代に設置
- 国家が酒造を管理、宮廷用の酒を生産したとされています。
お酒の用途として供御(天皇が頂くもの)、国家祭祀(宮中祭祀)、役人の饗宴と、“国家の行政と宗教”に関わる重要物資でした。
そのため、
酒の品質・量・供給を国家が直接管理する必要性が生じたことが理由として挙げられます
③ 平安時代(技術革新)
日本酒の基礎技術が完成
平安時代の『延喜式』(927年)に酒造工程が細かく記述されており、
蒸米 → 麹 → 発酵 → 圧搾 の基本構造が確立しました。
「三段仕込み」の誕生(室町時代)
④ 鎌倉〜室町時代(現代酒の原型)
- 『御酒之日記』(室町後期)で三段仕込みが確認。
- 大量の麹を使う → 高アルコール発酵が可能に
→ 現代の日本酒の技術的基盤。
生酛(きもと)造りの登場
乳酸菌を利用した自然の酒母でつくられた生酛造りが始まったのはこのあたりからです。
本日の脱線 ~生酛づくりについて~
・ 昔の酒造りは雑菌との戦いだった
室町〜江戸初期、日本酒の酒母づくりは雑菌汚染が最大の課題。
雑菌が繁殖すると発酵がうまく進まず、酒が腐る問題が頻発していました。
・乳酸菌の力で「雑菌に負けない環境」を作る必要があった
自然界の乳酸菌は、時間をかけて増殖することで乳酸をつくります。
乳酸により酒母の pH が下がり、雑菌が死滅 → 酵母が安全に増殖できる環境が整いました。
これが 生酛(自然の乳酸菌を利用する方法) の核心です。
・ 山おろし(すりつぶし)という作業で乳酸菌の増殖を促した
米・麹をすり潰すことで
- 乳酸菌が増えやすい
- 酵素が働きやすい
- 酵母が健全に増える
というメリットがあり、生酛造りが体系化されました。
・現代の速醸酛が生まれるまでは「最も安全に酒を造れる方法」だった
1909年に速醸酛(乳酸を直接添加する方法)が登場するまでは、
生酛=最も確実に強い酵母を得られる酒母 として使われていました。
以上、脱線でした!!!
⑤ 安土桃山〜江戸時代
江戸時代に酒造りが大発展
- 酒造りが民間の産業となり全国に広がる。
- ここで初めて“地方ごとの味の違い”が形成される。
「寒造り(かんづくり)」の確立
- 冬に仕込むと発酵が安定することが日本で広まった。
“清酒文化”が成立
江戸中期には、
- 火入れ(加熱殺菌)
- 濾過
- 圧搾
などが行われ、現代に近い清酒になった。
※ 火入れは16世紀にポルトガル人がワインで用いており、
日本酒の火入れ技術は“独自発展した可能性がある”。
⑥ 明治時代(近代化・法制度の整備)
酒税法の制定(明治13年・1880年)
以降、国が酒造を厳密に管理されるようになりました
速醸酛(そくじょうもと)の発明(1909年)
- 醸造試験所の高橋偵造により開発
- 乳酸を直接添加する方式
→ 生酛より安全・迅速
→ 現代の大量生産されている日本酒の主流方式が確立されました
⑦ 昭和〜平成(大量生産と吟醸革命)
戦後の三倍増醸酒
- 戦後の米不足で醸造アルコール・糖類を大量添加した酒が普及。
- 法的に問題はなかったが“質の低下”が議論された。
吟醸・大吟醸の台頭(1970〜90年代)
- 技術革新+鑑評会での評価
- 果実香の強い“吟醸香(イソアミルアセテート等)”が人気
- 日本酒が高級化し世界的評価も上昇
⑧ 令和(多様化・海外展開)

日本酒の輸出が増加(国税庁統計で確実)
- 特にアメリカ・中国を中心に人気
- 醸造技術の国際化(海外の酒蔵も増えている)
生酒・生酛・無濾過原酒などの“クラフト酒”の人気に
多様化が進むことで原点回帰した日本酒製造など、ワイン的な楽しみ方が広がってきています。
終わりに Take home message
- 日本酒は、米を発酵させて造るアルコール22度未満の醸造酒
- 酒税法では「清酒」と定義される
- 醸造アルコールの添加が認められ、本醸造・吟醸・大吟醸などの種類がある
- 製造は並行複発酵をはじめとしたなど日本酒独特の製法がある
- 歴史は古く、3世紀の口噛み酒に始まり、奈良時代は国家管理、平安で技術の体系化、室町で三段仕込み・生酛が登場した
- 江戸で清酒文化が完成し、明治以降は酒税法制定と速醸酛の発明で近代化が進んだ
- 昭和〜平成には吟醸酒が高評価を得て日本酒の高級化と世界的評価が向上。令和では輸出増加やクラフト酒の台頭により多様化が進み、国際的な広がりを見せている
今回は、日本酒について歴史を詳しく説明していきました。
日本酒編はもう少し続きますので、ご興味があれば次も読んでいただけたら嬉しいです!
