「年齢のせい」は半分ウソ。シミが“自然に消えない理由”を科学的に説明します

鏡を見たとき、ふと気になる「そばかす」や「しみ」。

昔からあったような気もするし、最近増えたようにも感じる――そんな曖昧な存在として、多くの人が抱えている肌悩みではないでしょうか。

一見よく似て見えるそばかすとしみですが、実はできる原因や現れ方、年齢との関係、ケアの考え方には明確な違いがあります。

「遺伝だから仕方ない」「年齢のせいだから諦めるしかない、、、」と思われがちですが、正しく知ることで向き合い方は大きく変わります。

本記事では、そばかすとしみの違いを基礎から丁寧に整理し、それぞれがなぜできるのか、どんな特徴があるのかを分かりやすく解説していきます。


肌の変化に不安を感じている方や、スキンケアを見直したいと考えている方が、自分の肌を理解する第一歩になれば幸いです。

目次

肌のシミができるメカニズム

① 慢性的な紫外線曝露が引き金になる

顔にできる代表的なシミ(老人性色素斑・日光黒子)は、長年の紫外線曝露と強く関連していることが複数の研究で分かっております。

重要なのは、一度の日焼けではなく、「長期間の積み重ね」であり、特に顔は、年中・毎日紫外線を受け続ける部位であることです。

② 表皮で「メラノサイトが増える」

シミの部位ではメラニンを作る細胞(メラノサイト)が局所的に増えており、これが一時的な活性化ではなく、構造的な変化であるということです。

 つまりシミは、「たくさん作られた色素が残った」だけでなく、
色素を作る細胞自体が増えた結果」といえます。

③ メラニン産生が慢性的に高い状態になる

メラノサイトが増えると、

  • メラニンが安定して多く作られる
  • 肌の生まれ変わり(ターンオーバー)で排出しきれなくなる

ようになります。

その結果、色が薄くならず、同じ場所に定着した斑点=シミとして見えるようになります。

④ 自然には消えにくい状態になる

  • 自然消退はほとんど期待できない
  • 年齢とともに数や濃さが増える傾向

ということがわかっております。

これは、一時的な炎症後色素沈着とは異なるということ、慢性・固定化した病変だからです。

そもそもシミってなんでできるの?

一般に「シミ」と呼ばれる肌の色素沈着は
①日光黒子=いわゆる老人性色素斑/solar lentigines
②肝斑/melasma
③炎症後色素沈着/PIH) 
に分類できます。


※結論から言うと、“原因を分子レベルで一本化して断定できる”タイプのメタアナリシスは多くありませんが、リスク因子(紫外線、加齢、喫煙、大気汚染など)と色素斑の関連は、観察研究の研究データは収集されております。

1) シミができる最大の理由:累積する紫外線の曝露

紫外線曝露(sun exposure)は、皮膚老化の主要な外因(extrinsic factor)として、色素沈着(lentigines/そばかす・色素斑を含む)など複数の研究で明らかになっております。

参考文献:

https://www.nature.com/articles/s41598-021-01573-z

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40552645/

    Visible Light Protection: An Updated Review of Tinted Sunscreens – PubMed Tinted sunscreens outperform non-tinted products in protectin pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

    2) 加齢

    • 皮膚老化のレビューでは、年齢(age)が色素性変化(例:顔面lentigines等)と関連することがまとめられています。

    参考文献:https://www.nature.com/articles/s41598-021-01573-z

    3) 大気汚染(PM2.5など)も“色素斑”と関連し得る

    • PM2.5などの長期曝露と、臨床的な皮膚老化(色素斑・シワなど)との関連を扱った報告も2026年の最新の論文でもなされています。(2026年論文として掲載)。

    参考文献:https://www.mdpi.com/2075-1729/16/1/61

    また、交通関連による慢性的な肌のメラニン物質の増加の関連を示唆する研究もあり、汚染→酸化ストレス等の仮説で説明されております。

    4) 喫煙

    • 皮膚老化のリスク因子をまとめたシステマティックレビュー/メタ解析では、喫煙(smoking)を主要な外因性リスク因子の一つとして挙げています。

     その他:肝斑・炎症後色素沈着(PIH)など「別タイプの“シミ”」ができる理由

    肝斑(melasma)

    肝斑は、紫外線・可視光など光要因が関わることが多く、**広いスペクトルを防ぐ日焼け止め(とくに可視光対策を含む製品)**が再燃予防の文脈で扱われます。

    参考文献:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40552645/

    炎症後色素沈着(PIH)

    PIHは「炎症→色素沈着」が本体で、疾患・刺激後に残る色素沈着を指します。“色の濃い皮膚タイプほどPIHが起きやすい”といったことがわかっています。

    そばかすとの違いは?

    そばかす

    メラニンを作る細胞(メラノサイト)の数は増えません。
    紫外線を浴びると一時的にメラニンが増えますが、紫外線を浴びないことでメラニン自体は消失していき、そばかす自体は減少していきます。

    一方で、シミは長年の紫外線により、メラノサイトが局所的に増えることで、メラニン産生が慢性的に続けられます。そのため、肌の生まれ変わりでは元に戻らない、「構造的に定着した色素斑」といえます。

    予防するためには?

    1) 紫外線対策(日焼け止め)の効果

    日常的な紫外線ケアが肌を太陽から守ります。

    特に、紫外線(UV)はメラニンを誘導し、色素沈着を増強する大きな原因です。慢性的な紫外線曝露はシミ(hyperpigmentation)の増悪に関与すると多数の研究で示されています。

    The Role of Sunscreen in Melasma and Postinflammatory Hyperpigmentation – PMC Photosensitive conditions such as melasma and postinflammator pmc.ncbi.nlm.nih.gov

     日焼け止めを使うことの効果

    日焼け止めはシミの悪化を予防する補助療法として重要であると皮膚科領域の総説でも評価されています。特に日焼け止めは、メラニン形成を刺激する紫外線(UV)や可視光の影響を軽減します。

    The Role of Sunscreen in Melasma and Postinflammatory Hyperpigmentation – PMC Photosensitive conditions such as melasma and postinflammator pmc.ncbi.nlm.nih.gov



    ある無作為化試験では、日焼け止めを毎日塗布した部位での色素沈着(PIH)の発生が明確に抑制されたことが示されています

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    ※ PIH(炎症後色素沈着)はシミの一形態ですが、普遍的な光誘導性色素沈着の予防モデルとして考えてよいとされています。

    2) 日焼け止めの種類と使い方を考える

    「広い波長域」を抑えることが大切です。

    紫外線(UVA・UVB)だけではなく、可視光(VL)も色素沈着に寄与することが報告されています。VLは特に高エネルギー可視光(青色光)がメラニン形成に関わることが示唆されています。 

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    また、可視光を含めて幅広い光(UV+VL)を防ぐために、顔料入りの日焼け止め(ティンテッドサンスクリーン)が、VL誘導性色素沈着の予防に優れるという研究結果もあります。 

    Visible Light Protection: An Updated Review of Tinted Sunscreens – PubMed Tinted sunscreens outperform non-tinted products in protectin pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

    👉 Broad spectrum(日焼け止め表示)+ 可視光防御を目指すのが理論的に優れた予防策です。

    3) 塗り方・使い方のエビデンス

    日焼け止めは一度塗るだけでは紫外線防御が不十分です。
    米国皮膚科学会などでも、2~3時間ごとの塗り直しが推奨されています。 

    また「適量をムラなく塗る」ことが非常に重要です。

     4) 炎症・刺激を肌に与えない

    炎症は色素沈着を誘発

    炎症後色素沈着(PIH)を研究したSRでは、日焼け止めが唯一一貫して予防効果を示したことが報告されています。 

    Prevention of Post‐Inflammatory Hyperpigmentation in Skin of Colour: A Systematic Review – PMC Post‐inflammatory hyperpigmentation (PIH) impacts all skin to pmc.ncbi.nlm.nih.gov

     炎症(ニキビ・擦れ・肌への強い刺激)は色素沈着の誘発因子になるため、
    摩擦や過度の刺激を避けることも予防になります。
    PIH予防と同じメカニズムであり、同様に予防につながります。

     5) 保湿・肌バリアの科学的背景

    皮膚のバリア機能維持を日々行うことで、紫外線や刺激への感受性を下げることができます。これは皮膚科学で広く受け入れられております。

    出来てしまったシミを治す方法

    ①シミを“薄くする”スキンケア

    有効成分(目的別)

    ① メラニン生成を抑える

    • ビタミンC誘導体
    • トラネキサム酸
    • ナイアシンアミド
    • アルブチン

    ② メラニン排出を促す(ターンオーバー促進)

    • レチノール(刺激に注意)
    • AHA(グリコール酸など)

    詳しくは以下の記事をご覧ください

    ※注意点

    • 即効性はない(数か月単位)ということ
    • 刺激が強すぎれば逆に炎症後色素沈着の原因
    • レチノール使用中はUV対策必須

    「薄くなる可能性はあるが、完全消失は難しい」というのが実際です

    ②皮膚科・美容皮膚科での治療

    主な選択肢

    ① レーザー治療

    • 老人性色素斑に最も効果的
    • 1回で消えることも多い
    • 一時的にかさぶた → 1–2週間

    ② IPL(光治療)

    • 薄いシミ・くすみ向き
    • 複数回必要
    • ダウンタイム少なめ

    ③ 外用薬

    • ハイドロキノン
    • トレチノイン→ 医師管理下が安全

    注意

    • シミの種類を誤ると悪化(例:肝斑にレーザー → 濃くなる)

    必ず医師による診断が前提

    終わりに

    シミやそばかすは見た目が似ていても、できる仕組みはまったく異なります。
    そばかすはメラノサイトの数は増えず、紫外線によって一時的に色が濃くなる一時的な変化である一方、一般的に「シミ」と呼ばれる日光黒子は、長年の紫外線曝露によってメラノサイト自体が増え、構造的に固定化した病変です。そのため、自然に消えることはほとんど期待できません。

    シミの最大の原因は「累積する紫外線」であり、加齢、大気汚染、喫煙なども色素斑のリスクを高める要因として報告されています。
    つまりシミ対策の本質は、できてから治すこと以上に、「これ以上作らない・濃くしない」ことにあります。

    日焼け止めを中心とした光対策(UVA・UVB・可視光)、炎症や摩擦を避けるスキンケア、肌バリアを保つ保湿は、すべて医学的に裏付けのある基本戦略です。

    一方、すでに定着したシミを完全に消すには、スキンケアだけでは限界があり、正確な診断のもとでの医療的治療が最も確実な選択肢になります。

    「遺伝だから」「年齢だから」と諦める必要はありません。
    シミは“運命”ではなく、“積み重ねの結果”であり、対策もまた積み重ねが鍵です。
    正しく知り、自分の肌に合った向き合い方を選ぶことが、これからの肌を守る第一歩になります。

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